安全靴の先芯の種類は?それぞれのメリット・デメリットを解説

公開日:2023/07/15  最終更新日:2023/06/14

先芯は、安全靴の先端に装着されているもので、足元の保護を担う重要な要素です。先芯には複数種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。現場の危険度によって適切な先芯を選ばなければ、安全を確保できません。この記事では、安全靴の先芯の種類と、それぞれの特徴について詳しく解説します。

安全靴の先芯とは何か?

安全靴の先芯とは、足の先を保護するために、足の甲から指先を覆うように安全靴の先端に配置されているプロテクターです。

運んでいる荷物が不意に落下してしまった場合や、予期しない衝撃から足を守り、労働現場での安全性を向上させる役割を果たしています。先芯は、JIS規格に基づいて、耐荷重や、衝撃に関する基準が設定されています。

かつて昔は、スチール製の先芯が多くを占めていましたが、近年では軽量で柔軟性のある樹脂製の先芯も登場しているため、作業場の危険度により選択できるようになりました。先芯の素材によって強度や快適性が異なるため、使用環境や作業内容に応じて適切な先芯を選択しましょう。

樹脂先芯のメリット・デメリット

先芯の選択肢に樹脂製が加わり、安全靴の選択肢も広がりました。安全靴を購入する際は、自社の作業環境にマッチした先芯を選ばなければなりません。樹脂製のメリットとデメリットを解説します。

非常に軽量

まず、樹脂先芯の最大のメリットは非常に軽量であることです。軽量な構造であるため、長時間の使用でも足の疲労感を軽減し、作業効率を向上できます。

足先が冷えにくくなる

また、冬などの寒い季節においても、スチール製の先芯と比べて熱伝導率が低いため先芯が冷えにくく、足先に冷えが伝わらないこともうれしいメリットです。

スチール製より強度が劣る

一方、樹脂製の先芯にはデメリットも存在します。それは、強度がスチール製の先芯よりも劣ることです。樹脂製の先芯は、JIS規格によって定められている450kgまでの圧力に耐えられる性能があります。しかし、500kgを超えるような重量物を多く取り扱う非常に危険な作業環境には、強度不足により安全性を確保できないため、使用は適しません。

たとえば、車両の下敷きや、高圧でプレスされる機器に巻き込まれるリスクがある現場などでは、高負荷の状況で指先を守れないでしょう。よって、樹脂製の先芯を備えた安全靴は基本的に軽作業向けです。

近年は開発が進み、1トン程度の負荷を与えても潰れることがない樹脂製の先芯も生み出されてきていますが、基本的には鋼鉄製の先芯の強度にはかないません

樹脂製の先芯は、軽量であるため動きを阻害せず、冷えにも強い特徴がありますが、危険度が高い作業環境では選択肢から外す必要があることを覚えておきましょう。

スチール先芯のメリット・デメリット

スチール製の先芯は、昔から安全靴の先端部分によく採用されてきた素材です。スチール先芯のメリットとデメリットを紹介します。

強度が高い

まず、スチール製先芯の最大のメリットは強度があることです。スチール製の先芯は非常に頑丈であり、1トンまでの高負荷でも潰れずに耐えられる性能があります。

そのため、危険な作業環境での使用や、非常に重い物が落下する可能性がある作業においては、スチール製の先芯を備えた安全靴の使用が推奨されています。予期しない衝撃や圧迫に対して、非常に信頼性が高いスチール製の先芯です。

重量が比較的重い

着用の際はいくつかのデメリットを考慮しなければなりません。まず、忙しい作業現場の中で使用するには、その重さが非常にネックになります。スチール製の先芯は、その強度を確保するために重くなる傾向があるため、長時間の使用や、すばやい動きが求められる作業では、足に負担がかかりやすくなります。

足先が冷えやすくなる

また、スチール製の先芯の、冷気を伝えやすい性質はデメリットです。鉄は、樹脂よりも外気温により温度変化しやすい性質があります。そのため、冬場などの寒い環境では先芯が冷たくなり、足先が冷えてしまいます。

足を圧迫しやすく、履き心地も悪い

また、スチール製の鉄芯が足を圧迫し、履き心地が悪くなることも問題点です。足を曲げにくい場合や、歩行時に足を動かしにくい場合があり、痛みを感じる場合もあります。

以上が、スチール製の先芯のメリットとデメリットです。重さや履き心地の悪さ、冬場に冷えてしまうなどのデメリットにより敬遠されることもあります。しかし、非常に高い強度により安全性が確保されることは、重量物を頻繁に取り扱うなどの危険な現場では、スチール製の先芯を何よりも優先して使うべきでしょう。

作業環境の危険度を適切に判断し、先芯の材質を選ぶことが重要です。危険な現場では、安全に作業することが最優先事項とされています。履き心地が悪いから、もしくは冷たく感じるからといった理由だけでスチール製の先芯を使わないのは、安全性を重視する現場では危険です。

まとめ

安全靴の先芯は、足の甲や指先を保護するための重要なパーツです。先芯の種類には樹脂製とスチール製があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

スチール製の先芯は、衝撃や圧迫などによる足へのダメージを防ぐ性能に優れているため、危険な作業現場での使用に適していますが、重さや履き心地の悪さがネックです。一方、樹脂製の先芯は、軽量で足先の冷えを防ぎますが、強度には限界があります。

強度があるからと、どんな現場もスチール製に統一するのもひとつの解決法ですが、作業員の動作は緩慢になり、生産性が上がりません。作業環境の危険度に合わせて、適切な先芯を選択することをおすすめします。

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