高年齢労働者に適した安全靴とは?

公開日:2023/04/04  最終更新日:2023/04/20

近年労働環境の変化に伴い、70歳までの就業が可能となりました。年齢を重ねても社会とのつながりを作れるのは、大きなメリットです。しかしそのぶん、安全に気を配りながらの作業が求められます。この記事では、高齢労働者の転倒を防ぐ安全靴、安心して働ける職場環境のほかに、現場の状況を把握するチェック項目を解説します。

高年齢労働者も安心して働ける職場とは

高齢労働者が安心して働ける職場にするためには、高齢労働者の活力が失われずに能力を発揮できる環境を整えることが大切です。加齢に伴う身体機能の低下や新しく導入した機械・技術の理解など、高齢労働者を悩ませる問題は多々あります。

また、高齢労働者の労働災害は30代の1.5倍にもなり、60歳以上ではさらに発生率は高くなります。また死傷者数も多く、労働災害に遭ったときの程度も重くなる傾向があります。

高齢者が働くことは大変だと感じるかもしれませんが、高齢労働者はさまざまな経験と知識があります。適切な判断力や統率力があるため、より業務を遂行しやすい環境作りをサポートしてくれるでしょう。だからこそ、高齢労働者の労働災害を防ぐ対応をする必要があります。

まずはチェック!現場の状況は?

高齢労働者が働きやすいと感じるための職場を作るには、現時点の職場状況を把握しましょう。現場における問題点や配慮すべき場所などを洗い出し、高齢労働者が安心できる現場を整えます。

その際に、厚生労働省が掲げた「高年齢労働者に配慮した作業負担管理状況チェックリスト」を参考にしましょう。このチェックリストでは、高齢労働者の能力を存分に活かし、現場の生産率を高めるための改善したい項目や目標を示しています。

どのようなチェックリストがあるのか、以下で詳しく解説します。

厚生労働省が示したチェックリスト

今回紹介するチェックリストのなかから、とくに意識すべきリストを紹介します。まずは就労条件です。就労条件では、あらかじめ作業内容などを具体的に示し、高齢労働者が作業計画を立てて仕事できる環境が整えられているか、を焦点に当てています。

その場ですぐに作業になると、時間配分や作業の流れを把握するのに戸惑う場合があります。そのため、事前に作業内容を提示しておくと、高齢労働者は自分がどんな動きをすればいいのか理解することができ、スムーズに取り組めます。

次に作業負荷の低減については、高齢労働者自身で作業スペースや量をコントロールできているかの確認です。加齢に伴う身体の変化により、時間に追われながらの仕事は不得意な場合があります。さらにミスも起きやすくなるため、高齢労働者自身で作業をコントロールできる指示が大切です。

そして作業環境の配慮では、職場全体の照明や音が適切であるかをチェックします。現場はもちろんですが、職場が薄暗くて見えにくい場合、階段や通路の段差で転倒する恐れがあります。適切な照度を保ち、高齢労働者が安心して歩行できるように整えましょう。

また音については、スタッフ同士の会話や警告音が聞こえにくい騒音が入らないように対策します。

チェックリストの結果から職場改善

厚生労働省が掲げたチェックリストには、項目ごとに改善ポイントが記載されています。たとえば、年齢や個人差を配慮して仕事内容や時間などを考慮している項目の場合の改善ポイントは、経験を配慮した配置にしたり、事前計画が立てられる作業にしたりします。

また、判断や行動力を瞬時に求める作業になっている場合は、素早い判断を必要とする作業の減少、速さを求める作業は極力避けるなどで改善します。このように項目ごとに改善方法を記載しているため、すぐに職場に取り入れることができ、高齢労働者が働きやすい環境を作れます。

現場に最適な環境・アイテムを用意しよう

高齢労働者の転倒は危険なことであり、骨折や寝たきりの原因になる可能性が高くあります。そのため、転倒リスクを避けるために靴選びは重要項目です。高齢労働者の安全を護靴選びのポイントを以下で解説します。

軽量な靴で歩きやすくする

重さのある靴での仕事は足が疲れやすくなります。足がもつれて転倒が起きる可能性もあるため、1足900g未満の靴を選ぶようにしましょう。

バランスを整えてつまずきを防止

一般的な靴はつま先部分に重量が集まっています。つま先とかかと部分がアンバランスなため、つまずきやすくなります。靴紐を中央部で吊り上げたとき、平行になっているような靴を選びます。

滑りにくい耐滑性

耐滑性のない靴は滑りやすいため、転倒リスクが非常に高くなります。J I S T8101の耐滑性に適合した安全靴など、安全性が認められている靴を着用しましょう。ただし、滑りにくい床材の場合、耐滑性の靴で歩くとつまずきやすくなる場合があります。床の形状や材質を確認した上で、適切な安全靴を選ぶことが大切です。

屈曲性のある靴

靴底が硬かったり曲がりにくかったりする靴は、足に負担を与えます。また、つまずきやすくなるため、屈曲性のある靴を履き安定した歩行を確保しましょう。

つま先の高さを確保

高齢労働者は歩くとき、膝を曲げにくくなるためすり足で歩行するケースが多くあります。靴のつま先部分が低いと、床に引っかかって段差にぶつかったり転倒したりします。床との隙間を確保するために、つま先部分は高さのある安全靴を選びましょう。

靴底のクッション性

歩行時の疲れや飛び降りた際の足の骨折予防に有効です。足の疲労が溜まると、関節痛や疲労骨折などを発症する可能性が高いため、衝撃を抑える安全靴が望ましいでしょう。

まとめ

高齢労働者は多くの経験と知識があるため、職場の生産率向上に働きかけてくれます。その一方で、加齢に伴う身体能力の低下により、労働災害の発生率が高い状態にあります。

高齢労働者が安心安全に働く環境を整えるために、厚生労働省が提示する「高年齢労働者に配慮した作業負担管理状況チェックリスト」で職場改善を実施しましょう。また、日々の仕事疲れを軽減するJ I S T8101の安全靴を着用し、足の負担を和らげることも大切です。

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