安全靴・作業靴の製法について
公開日:2023/07/01 最終更新日:2023/06/14
作業現場では、常に危険と隣り合わせで作業をおこなわなければならないでしょう。危険を回避するためにも、現場に適した安全靴・作業靴を履くことは非常に大切になってきます。本記事では、安全靴・作業靴の製法について解説します。作業現場で働かれている方は、ぜひ最後まで読んでください。
安全靴の4つの製法
安全靴は、足や人体を危険から守る働きがあり、原則として革靴を履くのが一般的です。また、安全靴には4つの製法がありそれぞれの現場に適した安全靴が存在します。安全靴に用いられる4つの製法を紹介します。
直接加硫圧着式製法
直接加硫圧着式製法は、重作業靴や安全靴として活用されている靴です。製法としては、後部周辺を中底に刷り込んだ後圧着機に装着してゴムを挿入します。加熱加圧成形しながら底を加硫圧着する製法です。
グッドイヤーウェルト式製法
グッドイヤーウェルト式製法は、古い製造の仕方ではありますが紳士靴の製法としては代表的な製法です。中底のリブに釣込んだウエルトを縫い付け、表底を被せた後ウエルトと表底周辺とともに出縫機でロックステッチする製法です。
セメント式製法
セメント式製法は、婦人靴から紳士靴として拡大し、幅広く使われている製法です。製法や構造が簡単にでき、コストが安く済むため多くの靴に用いられています。製法としては、後部周辺を中底に釣込んだあと、甲部周辺と表底周辺に接着剤を塗布します。塗布したあと、圧着機で底上げする製法です。
インジェクション式製法
インジェクション式製法は、軽く反りの良い靴であるためスポーツ靴として広く活用されている製法です。製法としては、甲部周辺を中底に釣り込んだあと射出成形機に装着します。液状のゴムや合成樹脂を全型中に射出して、底部を形成する製法です。
安全靴に用いられる素材とは?
安全靴に用いられる素材は、パーツごとにそれぞれ違う素材が使われています。パーツを変えることで、現場に適した安全靴を選べます。安全靴に用いられる素材に付いて、パーツごとに解説します。
甲被
建築や溶接現場に適した素材として、甲被には本革が用いられることが一般的です。また、合成皮革は耐熱性や耐久性がやや劣りますが、工場や倉庫・運送など幅広い現場で活用されています。また、甲被が軽量で安価なデザインは林業や運送などに適しています。水気が多い作業場では、長靴に用いられる耐久性が高い甲被がおすすめです。
先芯
危険物や重量物を取り扱う作業現場では、鋼製先芯を用いられています。また、寒さや歩くことが多い作業現場では樹脂先芯が一般的に使われています。これは、軽くて冷えにくいことが特徴的であるからです。
靴底
天然ゴムの靴底は、耐摩擦性や弾性が強いため、熱や油を使わない作業現場に適しています。また、合成ゴムは天然ゴムに対し色のバリエーションが多く、多くの作業現場で使われています。水気の多い作業現場では、耐水性が高いことや軽い点からEVA樹脂が多く使われています。
安全靴ができるまでの製造工程
安全靴は、作業現場や使う人の用途に応じて製造工程もそれぞれです。とくに、作業現場で使用されている安全靴の製造工程を解説します。
インジェクション製法
インジェクション製法は、底材を金型に注入してソール形成とアッパー接着を同時におこなう製法です。製法をおこなううえで、多くの設備が必要となるため国内でもごくわずかな工場でしか製造されていません。
最後の製法過程では、履く人の形状に合わせて再現するため、履く人の足に合ったフィット感が再現できます。また、密着性が高いため底剥がれや型崩れしにくいメリットもあります。この製法は、レインシューズや介護用シューズなどにも使われています。
セメント製法
セメント製法は、アッパーとソールを接着剤で張り合わせて加圧密着させる製法です。構造的には、簡単に製造できるためたくさん靴が製造できるメリットがあります。簡単な製法であるため、革靴の製法として多くの靴に使われている製法でもあります。
また、デザインも偏りがなく自由な靴の製造ができる製法でもあります。簡単な製法ではありますが、素材や接着剤の進歩に伴い耐久性や軽さにも対応した製造が可能です。
グッドイヤーウェルト製法
グッドイヤーウェルト製法は、中底に張り付けられたリブに、アッパー・中底・ウエルトを一緒に縫い付けて本底と縫い付ける製法です。アッパーと中底が直接つながっていなため、アウトソールの交換が複数回可能です。このため、靴に対しこだわりがあり他とは違う、自分だけの靴を長く履きたいという方におすすめです。
また、中底のコルクにはクッション性があり何度も履くことで足裏にフィットするでしょう。同じ靴を長く履きたい方におすすめの製法です。
まとめ
本記事では、安全靴・作業靴の製法について紹介しました。作業現場と一言でいっても、さまざまな現場がありそれに合った靴が多く販売されています。また、作業現場では普通の靴ではなく安全靴を履くことで、足元を守り自分自身を守る役割もあるでしょう。